白い雌兎が死んでるのに気付いたのは、俺について一緒に世話してたDesireだったかと思う。
Desireはまだ小二だったけど、赤い目の白い雌兎をよく可愛がっていた。



「流血、起きろって言ってんだろ!」

「流血、もう良いよ! 私も居るから!」


BloodyとDesireが必死に声をかけ続けているけど、流血の涙は止まらず、起きる気配は一切無い。

もしも流血が俺の想像とおりに、夢の中で寂しくて泣いているのなら、流血は凄く悲しくて寂しくて苦しい筈だ。
それを分かっているからなのか、Desireは流血に“私も居る”と声をかけている。


だけど流血の悲しみは、誰かが一緒に居てくれる事だけで、癒えるものではない。
流血の寂しさは、ただ後悔から来てるモンでも無いし、そこに幸せや後ろめたさも多少は混じってる筈だから、かなり厄介だ。


BloodyとDesireがどれだけ懸命に声をかけても、流血の悲しげな叫び声は止まっても、赤い涙が止まる事は無かった。





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