「流血、起きろってば! 起きろよ!」


Bloodyも一緒になって、流血を起こそうとする。
しかし、流血は全く起きる気配が無い。




流血のベッドシーツや枕カバーに付いた赤い染みの正体は、自分でも自覚無しに悲しみに暮れる流血の涙だったんだ。


それを見ながら俺は、小六だったあの日を思い出していた。


日が比較的高くない朝の時間に仕事をこなせば良いから、という理由で、俺は小六の時は飼育委員を務めていた。
勿論、世話していた兎や鶏から血を戴く事は無く、ちゃんと真面目に世話していた。

ある日、灰色の雄と茶色の雌が、急に仲睦まじくなった。
俺はその週は、兎小屋の当番だったんだ。
その翌日、白い雌が一匹、静かに死んでいた。
俺は他の飼育委員と一緒になって、丁寧に白い雌を埋葬した。

それから数日後、流血が吸血鬼として、俺達の住む家にやってきた。
“兎は寂しすぎると死んでしまう”という言い伝えを知ったのは、それから半年くらい後だ。





.