……何となく、嫌な予感はしてた。
本当に何も知らないように、まるで他人事のように話を聞いてる流血に、嫌な予感だけはしてた。

だって、そう考えれば、全てが当てはまる。
植物の効果について覚えてなかった事とか。
最近の流血の、枕カバーが赤く染まってる事とか。


流血は覚えてない。
だから、私や他の人の流血への心配は、本人には届いてない。
いつだってそうだ。
いつだって、どんなに心配しても、本人には届かない。

だけど、たぶん思い出しつつあるんじゃないかな?
で、苦しんで泣いてる。



「…何だか、気分悪くなってきた。トマトジュース飲んで、もう寝るよ。残ってるウチの分、悪いけどラップして冷蔵庫に入れといてくれない?」

「…うん、分かった」


流血が苦しんでる証拠とも思える台詞を残して、食卓を立った。
きっと流血は、この後もっと苦しむと思う。
そして、本当の事を思い出すんじゃないかな。

部屋を出る直前に見た流血の目は、真っ赤になっていた。





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