「うん。塾を出た時、もう八時過ぎてた。だから、あたし早く帰りたくて、本当に急いでて、速足で歩いてたら、後ろからついてくる足音が聞こえてきたの」


住宅街なんだから、足音くらいは珍しくも何でもない。
駄菓子屋のさらに先は大通りになっていて、コンビニだって大型の駐車場だってあるんだから。



「一回立ち止まってみたけど、足音は止まんなくて。何か本当に怖くて、後ろを振り返る事も出来なくて、急いで大通りに出て、コンビニの二つ先の国道のトコで信号を渡る事にしたんだ。だけどコンビニを通り過ぎても、足音は止まらなかった。ずっと、ずっとついてくるんだよ」



大通りまで出ると、住宅街に出没する痴漢は激減するらしい。
途中で諦めるのか、ついてこなくなるんだって。
だけど光子は、大通りに出ても、住宅街の住民が用がありそうなコンビニを通り過ぎても、ずっとついてこられたって言ってる。





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