顔の陰で隠れていたのか、短いが目立つ髪で上手い具合に隠れていたのか。

因幡の首には、まるで血が流れたようにも見える、赤い染みというか、汚れみたいな物が付着していた。


……何だ、あれ?
赤ペンのインクはあんな所には飛ばないだろうし、あんなに血が流れてたら、吸血鬼だって無傷じゃ済まないんじゃないのか?
しかも首だし。
確か首って、何か重要な骨があるんだったよな?


気付いてしまえば、灰緑のくすんだ髪色に対して、赤ペンにも血にも見える赤い染みは、かなり目立った。
その事に因幡が気付かない筈が無いのに、どうして因幡は赤い染みを洗い落とさなかったんだ?
洗う時間が無かったのか、それとも洗い落とす事が出来なかったのか。


そんな事を考えてたら、因幡は結局俺に気付く事はないまま、公園から出て行った。
反対側の入口から、真亜咲が走ってやってくる。


「美濃先輩!」

「真亜咲、遅いぞ!」


俺はとりあえず因幡の疑問を忘れて、真亜咲とデートする事にした。





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