放課後、学校の近くの公園のベンチで、俺は蚊刺されに堪えながら、彼女を待っていた。
九月の公園はまだまだ日差しが強く、蚊や羽虫が多い。


俺は、美濃彰(ミノ アキラ)。北高の一年、サッカー部。
今は自慢の彼女であり、中学のサッカー部の後輩の駿河真亜咲(スルガ マアサ)と待ち合わせしていた。
これから、ゲーセンで……デートだ。


デート。未だに、この言葉を言う時には何だか照れる。
もう、俺と真亜咲が付き合い始めてから、二カ月以上が経つのに。
俺がこういう事の体験が無いからなのか、本当に大好きな真亜咲と一緒だからなのかは、よく分かんないけど。



…しかし、気になる事があった。
真亜咲が、約束の時間に遅れてるんだ。

真亜咲は時間にはけっこう正確なようで、少なくとも俺の知る限りでは、部活や待ち合わせとかに遅れてきた事は、今まで一回も無い。





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