さすがにそれは驚いて、しっかり洗い流そうとして。
顔を上げて、確認の為に鏡を見て。




…………映らなかった。
何が起こったのか、分かんなくなった。
ウチが居る筈の所には何も映ってなくて、自分が何処に居るのか一瞬分かんなくなった。


考えてみればそれは当たり前の現実で。
吸血鬼の中には鏡に映らない人もいて、ウチもその一人だった。

ウチは、ウチ自身が鏡に映らないって、前から知ってた筈なんだけど。
実際、前にもそんな事があったし。
何で忘れてたのかな……?


だけど、参ったな…。
鏡にウチが映らないなら、顔や首にある筈の染みを洗い落とし切る事が出来ない。
何処にどれだけ、赤い染みが残ってるか、洗いながら確認出来ないからだ。


仕方無いから、顔と首を全体的に強くこすって、出来るだけ洗い落とす事にした。
どれだけ落ちてるか分かんないから、最悪な博打になるけど、やるしかない。





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