俺はシーツの弁償を覚悟して、一つの実験してみる事にした。
洗面台に湯をはって、その中に流血のベッドシーツを浸して、30分放置してみる。
その後、石鹸で軽く擦り洗いして、洗剤の入った洗濯機に放り込む。

赤い染みが落ちなくなってれば、それは血で間違い無い。
血はタンパク質だから、熱湯で固まって落ちなくなる筈だから。
そうしたら、新品のシーツを弁償してあげよう。

赤い染みが簡単に洗い落せれば、それは最後の可能性だ。
流血が思い出した、証拠だ。



湯に浸して30分、俺はシーツを引き上げた。
赤い染みは薄くなっていて、石鹸をつけて洗うと、染みは簡単にあとかたもなく消えた。
俺は最後の可能性を確信して、流血のシーツを洗濯機に放り込む。


間違い無い。
流血はあの事を、思い出している。
だから動いて、流れた物が赤いんだ。
思い出してなければ、流血から流れる筈が無いんだから。





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