「…ごめん、聞いてなかった。何?」


能登君が大きな溜め息を吐く。
だから、ごめんね。能登君も、Desireちゃんも。



「……戴く血の量が半分まで減れば、下野さんのような大きな症状にはならない筈です。薬局で売ってるような効き目の弱い薬でも、症状が改善する可能性は充分にあります」

「ただ、それも全部、俊秀がどの状態まで治って欲しいかによる、って事だよな?」


Desireちゃんの説明を能登君が引き継いで、そのまま確認する。
頷くDesireちゃん。


「私自身は、上野さんと能登さんが依頼してくれたなら、全力を尽くします。あとはどうしたいのか、どうして欲しいのか、上野さんと能登さんが決めるだけです。……どうしますか?」



賭けてみる価値はあるのか、本当に賭けても良いのか、私には分かんない。
トシはどうやって、私の目が覚める事に賭けたんだろう?
トシはどうして、全部を犠牲にする覚悟が出来たんだろう?





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