美術部の荒らしを止めた前日に発生した、放送部への荒らし。

あれも、被害が出ないうちに流血が放送部の部室に向かい、騒ぎをおさめたらしい。






普通に考えたら、流血の方が血を多く受け取っても良い筈だ。

しかし流血は、「元からヤンキー共が悪かった。ウチは理由があって悪い連中を叩いただけ」と、あっさりと報酬を辞退したんだ。




「……ところで5ccなんて、どうやって量るの? 注射器でもあるの?」

「気にしなくて良いよ。俺達には俺達の、やり方がある」




そう、注射器なんて無粋な物は持ち歩きたくもない。
そんなの、俺達の吸血鬼プライドが崩壊する。

基本的には、採血して刻印を残す場所に、直接触れば良い。




首筋に刺したような痕を残すなんて、300年は前に生まれた先祖だけだ。








しかし、三河さんには目立つような、永遠に消えない刻印を残す必要は無い。

俺は殆ど動いてないし、この採血量じゃろくな痕も残らないだろう。






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