「……それじゃ、5ccで」

「良いの? それだけで」

「良いんじゃない? 俺は特に何もしてないし、流血も何もいらないらしいし」





俺・アンモラルの相模拓斗は、「文化部をヤンキー共から守って欲しい」と依頼してきた美術部部長・三河優希から、報酬の血を受け取ろうとしていた。


俺がやった事は、本当に少しだけ。

「三河さんが実は凄い」という噂を色々流して、ヤンキー共を叩きのめす事が出来る流血に相談した、その二つだけ。





しかも俺が流した複数の噂は、ことごとく事態を悪化させただけに終わった。

結果、三河さんは止まない被害に、一時的に追われた。


この学校のヤンキー共の馬鹿さ加減は、一筋縄ではいかないらしい。

頑張って褒められた人へ逆恨みするなんて、本当に馬鹿げている。







それに比べると流血は、その後に続いた文化部への荒らしも、ことごとく沈静化して回ってくれた。





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