俊秀を家に送り届けてから、俺はトンボ返りして病院に向かう。
さっき、上野が言ってたんだ。“俊秀のコトて教えて欲しい事があるから、病院に戻って来れる?”って。

俺が動く事で俊秀と上野が幸せになれるなら、俺に出来る事は何だってしてやる。


「失礼します」

「どうぞー」


中から上野の声が聞こえたのを確認して、俺は病室とドアを開ける。

上野はベッドの上で起き上がって、英語の教科書を読んでいた。
……コイツ、本当に俊秀と英語で勉強デートするつもりかよ…。


「うわぁ、本当に来てくれた! 能登君、ありがとー」

「…そういう約束だっただろ」


上野がさも驚いたように言ったから、俺は拗ねたくなった。
こっちは大変だったんだぞ。だって……。


「だって、本当に来てくれるとは思ってなかったんだもん」

「冗談じゃねぇよ。だいたい俊秀が、上野が俺に耳打ちしたって気付いたみたいで、焼き餅妬いて大変だったんだぞ」





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