俊秀と待ち合わせしていた。
…と言っても、俊秀は目が見えなくて危ないから、俺が俊秀の家まで行くんだけど。

眼科では、処方する目薬と漢方薬を使って一週間経っても症状が改善しないなら、もう一度来なさいと言われた。

だから俺は、俊秀の様子を確認して、場合によっては一緒に眼科に行く事になっている。
……高校受験を控える夏に、何をしてるんだか。
そんな暇は無い筈なのに。




俊秀の家に到着して、呼び鈴を押す。
この時間はまだ、パートに行く前のおばちゃんがいる筈。

目の見えない俊秀が怪我をする可能性もあるし、基本的には家に俊秀一人を残す可能性は低い筈だと思うんだ。


「はーい」と女の声がして、玄関のドアを開けてくれたのは、おばちゃんだった。



「和明君、俊秀が待ってるわよ」

「お邪魔します」


俺は玄関で靴を揃え、そのまま俊秀の部屋に直行した。





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