「うん。あとね、アンモラルの刻印も薄く、消えやすくしてくれるみたい」

「へぇ~、知らなかった」


流血が椿の押し葉を一枚取って、真剣に眺めてる。


「個人的には、女の子の体に、何か分かんない刻印とか傷とかあったら、私は嫌だからねー」

「まぁね。Desire、詳しいんだね」

「そうでもないよ。……あ」


思い出した。
前に駿河さんから聞いたのと似た、日本の昔話。


「どうした?」

「思い出したよ。前に流血と一緒に聞いた駿河さんの話が、何の話に似てるか」

「真亜咲ちゃんの話? ……あぁ、あの話か。何に似てるの?」


流血が前に、依頼人の想い人から聞いた話。
私は本棚から、古事記について書かれた本を取り出した。


「『因幡の白兎』。ガマの穂が出てくるのは、『因幡の白兎』なんだよ」

「『因幡の白兎』…………」


流血が噛み締めるように呟いた。





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