目が見えるようになれば俊秀はまた上野の笑顔を見れる訳で、目が見えなくても上野と会話は出来る訳で。

それは絶対に、俊秀にとっての生き残れた希望だ。




薬を受け取ってから目が見えない人を放置する訳にはいかず、俺は俊秀を家に送った。

出迎えてくれた俊秀のおばちゃんに事情を説明して、既に眼科医に診断してもらった事も伝える。
おばちゃんには「一緒に上野を見舞ってる時に、急に目が見えなくなった」と説明したから、俺がその場に居た事をやたらと感謝されてしまった。



「……あと、江梨子が目を覚ました」

「本当？ それは良かったわ」


俊秀が上野の意識が戻った事を伝えると、おばちゃんは本当に安心したようだった。
俊秀と上野は元から幼なじみらしいので、おばちゃんも上野さんと知り合いらしい。

……おばちゃんが、上野の意識が戻った事と、俊秀の目が見えなくなった事の関係に気付かなけりゃ良いんだけど。
気にしすぎか…………。





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