私は疑問を晴らすべく、口を開いた。


「トシ、…どっか具合でも悪いの?」


トシの動きが、固まったのが分かった。
恐る恐る……という感じで私を見るけど、だからピントが合ってないよ。


「あのな……」


トシが口を開いて、閉じる。
言おうかどうか、悩んでいるの?

言いたくない事かもだけど、言ってくれなきゃ分かんないよ?



「俊秀は、目が見えてないんだ」


先に口を開いたのは、能登君だった。
トシ、私が見えてないの?

トシが、能登君がいる方向を見る。


「……コレも、交通事故の後遺症らしい」


言い辛そうに、能登君は続ける。
私を見るトシのピントがずれているのは、その所為だったんだね。
きっと、音や声だけで、何とか反応してる。


その目に私は映っているのに、何処か虚ろなトシの目。
あの交通事故で、トシは目がやられてしまったのか…。
私が知らない間にそんな事になってたなんて……。





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