一学期の期末試験の最中に、交通事故に遭った。


とても懐かしい声と、可愛らしい声が聞こえたと思って、目を開けた。

気付くと見慣れない天井と見慣れない看護士さんっぽい人、私の大好きな彼氏であり幼なじみ•下野俊秀(シタノ トシヒデ)と、トシのクラスの友達の能登和明(ノト カズアキ)君がいた。



「…トシ? 能登君?」

「江梨子、ようやく起きてくれたんだな…」


……あれ?


「此処は何処?」

「病院。上野さんは俊秀と交通事故に遭って、一ヶ月近くも眠り続けてたんだよ」


能登君が丁寧に説明してくれる。

自分でも確認してみると、擦り傷が体中に出来てたし、頭には包帯も巻かれてるようだった。
擦り傷の中には、既に綺麗にカサブタが剥がれた所もある。

……あれ? やっぱおかしい。
トシが私の方を見てくれないよ?

返事はしてくれるから、私の声が聞こえてない訳じゃないみたいだし。





.