もし俺が死んだとしたら、江梨子が悲しんでくれるのは知ってる。

だけど今のままじゃ、どっちにしても、俺か江梨子かの片方が死んで、遺された方が悲しい想いをするんだ。
俺は、それを、知ってるんだ。





「それ、俊秀君の代わりに、おばさんが死んで、江梨子を助ける事は出来ないの?」

「…そんな。そもそも、ただの仮定ですよ。おばさん」

「……そう、よね」




おばさんのとんでもない意見に、俺は慌てて答えた。


たぶんBloodyは報酬を貰えさえすれば、それが誰の血でも構わず、願いを叶えて江梨子を助けてくれるだろう。

だけど、そうしたら俺が生き残っても、江梨子のお母さんが死ぬ。
そんな事したら、江梨子は絶対に悲しむに決まってる。

彼氏とはいえ赤の他人と、実の肉親のどっちかが亡くなるとしたら、実の肉親が亡くなった時の悲しさと寂しさの方が大きいんだ。

他の選択肢があったとしても、江梨子のお母さんが死ぬってのだけは避けないと。





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