夏休みに入って一週間が過ぎ、そろそろ七月も終わる頃。
俺は学校でやってる数学の補習に和明と参加した後、江梨子のお見舞いに来ていた。

クラスメートでアンモラルのBloodyに、俺の命と引き換えに江梨子を助けてもらうかどうか、未だに決められずに。
それでも、江梨子の意識が戻る事を望みながら。



和明には、Bloodyに言われた江梨子の症状を伝えてあった。
和明は、「俊秀がどんな選択をしても俺は反対はしないが、どうするか決まったら俺にも教えてくれ」とだけ言った。

俺は和明のような、話が分かるヤツがいてくれて助かった。




その日は病室に入ると、江梨子のお母さんがいた。


「こんにちわ、おばさん」


俺の挨拶に、江梨子のお母さんが振り返った。


「あら、俊秀君。こんにちわ。江梨子の見舞いに来てくれたの?」

「はい」





.