だからこそ、吸血鬼は不死身で、自殺する事は出来ない。
人間のように簡単には死ねないんだ。


俺だってDesireだって、簡単には死ねない身だ。
悲しいまでに、物事を忘れられずに、ずっと背負わなくちゃいけない存在だ。

これが、御天道様に背いた存在としての、罰なのだろう。
俺達は、吸血鬼として存在をし始めたその日から、基本的には永遠に、罪を抱えて血を吸い続けるんだ。



「忘れたい事も一生覚えてなきゃいけないし、それだけで既に終わってるよね」

「……そうだったね。ごめん」


俺が小さく呟いた言葉に、Desireは静かに返してから、漫画を放置したまま部屋を出て行った。

……漫画、ちゃんと本棚に戻してゆけよ。
二度と読ませねぇぞ。


Desireだって、本当は分かってるんだろう。
俺達が何処までも死ねない身だって。

拓斗(タクト)も、流血も。
流血なんて、永遠に覚えて苦しみ続ける為に、吸血鬼になったんだから。





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