病院でキレて他の患者さんに迷惑をかける訳にもいかず、俺は深呼吸をして、イライラを落ち着かせる。

Bloodyは、俺に協力してくれようとしているんだ。





……しかし、どうしよう。

俺の命を選ぶか、江梨子の意識を選ぶか。
もう本当に、それだけなんだけど。


俺の命は続き、江梨子の意識は戻り、二人してまた笑い合える。
そんな都合の良い、だけどベストな選択肢は存在しないのか?



……無いんだった。

そんな選択肢は、先に江梨子の命が消えるかもしれないという、史上最悪の賭けに出ないと発生しないんだった。

さすがに俺には、それは選べない。



和明は、「自分だったら迷わず江梨子の意識を選んで、自分の命を捨てる」って言った。
だけど、俺自身が決めるべきだとも言った。



……どうしよう。
俺には選べない。

俺の将来なんかより、江梨子の幸せの方が、よっぽど大事なのは分かってるんだけど。





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