時刻は午後8時48分、
バスは古館のバス停を過ぎた。
「明日も仕事かい?」
不意に、桐山さんが話しかけてきた。
(ここからは‘男’と呼ぼう)
「・・・はい。」
「そっかぁ、僕は毎月、
第二土曜日は休みなんだよ」
「・・そうなんですか・・・」
「いやー・・・、
それにしても綺麗な顔してるねぇ。」
その言葉になんと返せばいいかわからず、
はははって笑って返した。
この男は何がしたいんだろう、
口説き?
見た目からして年齢は30代後半、
結婚はしていないのだろうか。
「傷ついたらごめんね、
よく色白だねって言われないかい?」
「いえ・・・言われませんが・・・」
「そっかぁ・・・
うちで飼ってたハムスターに似てるんだよ、君」
「・・ハムスターって・・・、
黄色いイメージなんですけど・・・」
「ああ、ゴールデンハムスターだね。
僕の飼ってたのはジャンガリアンの、
パールホワイトって種類なんだ。」
「・・それは・・白い種類なんですか?」
「そうだね、真っ白だよ」
「なるほど・・・。」
