「あ、ほうれん草入ってるんですね」


「本当だ。珍しいね・・
 ペペロンチーノにほうれん草は。」


「私、野菜はダメなんですよね・・」


そう言って彼女は、

ほうれん草だけを皿の端に寄せた。


そういえばシマウマも野菜は苦手だった、

ミックスフードをあげても

緑色をした野菜味だけはいつも残していた。

唯一食べれる野菜は‘もやし’だけ。

妻が御飯仕度の合間に何度かあげていた。


それをシマウマは両手に抱えて

モシャモシャ食っていたのを覚えている。

僕は妻と二人して、

「可愛い可愛い」言いながら

何枚も写真を撮っていた。


本当に、

彼女はシマウマに似ている。

そう思えば思うほど、

だんだんと似てくる。


バスに乗っていた時から

彼女から香っていたピーナッツのニオイも

シマウマと同じニオイだった。


こんなこと、彼女に言ったら、

馬鹿にされて笑われるか

気持ち悪がられるかのどっちかだ。


ただ一つ、

うちのシマウマと違うところは、

彼女は‘上品に食べる’

ということだった。