そうやって思い出を懐かしんでいると、

一つのある‘答え’浮かんできた。

その‘答え’に確信はなく、

とても信じられないようなものだった。


そして今の私は、

自分でも不思議なくらい落ち着いていて

とても清々しい気分だった。


それから少しして、

南口のアナウンスがはいったので

私はボタンを押した。


「もうすぐ暖かい我が家だ、」


私の隣で男は

嬉しそうに、寂しそうに言った。


・・ふと思いついて、

私は携帯を取り出した。

迷わずアドレス帳を開くと、

それを見て私は笑った。

なんと登録件数は0件だった。


私は、

全てを理解し、思い出した。

気持ちはさっきよりもスッキリした。

ニヤニヤが止まらない。


・・そして時刻は午後9時11分、

バスは南口のバス停に止まった。

降りたのは私と男だけ、


「・・それじゃ、お嬢さん
 気をつけてね。」


そう言って背を向ける男に、

私は駆け寄って行った


「少し、飲みませんか?」