多分、沙和が一番気にしてることは、そのことだろう……



ーー『知ってるよ。沙和の耳のこと言ったら、『そう。じゃあ、連れておいで』って…』

ーー『…………そう・・』

「大丈夫だよ、そんなに心配すんな」


俺は沙和肩に手を回し、自分の方に引き寄せた。

沙和は少しだけ笑って、コクリと頷いた…






ーーーー

ーー




「ただいま」


かなり久しぶりに、実家のドアを開ける俺。

すると…




「いらっしゃーい!待ってたのよ〜」


お母さんが、台所からダッシュで玄関にやって来た。




「沙和さん、初めまして!奏の母です……いつも奏が、お世話になっています」


沙和に深々と、頭を下げるお母さん。




ーー『は、初めましてっ!沙和です!よろしくお願いします!!』

「沙和が、よろしくだってさ」


沙和は緊張しながら、お母さんに深々と頭を下げていた。

俺は沙和の手話で言った言葉を、お母さんに通訳する。





「いいのよ、そんな堅苦しいことは。さあ、あがって♪ご飯できてるのよ〜」