真夏の雪

抱きしめられている、と気づくには数秒かかった。




「…ーーなよ。」



「え?」



「無理して、笑うなよ。」



彼は、優しく言った。



「泣いていいよ。今は、泣いていいから……その後は、笑えばいいから。」



彼の、茶色の髪があたしの頬にかかる。


後ろから抱き締められてる腕は、更に強くなり


「泣けよ。……俺の前なら泣いていいから。」



目頭が熱くなる。



「……ッ…ッう…ウゥッ……。」



やっと、流れたあたしの涙は現実を受け入れる為のもの。


そして、あなた




聖那を好きになったキッカケ。





まだ、あたしは幼い頃
若い二人の王子がいたんだ
片方は、大人っぽくて
片方は、優しくって


二人は、あたしの一部だった。