―奏― 君に捧げる愛の歌



そんな周囲の様子はお構いなしで、男の人はズンズンと私に近付いてくる。



「これ、お前のだろ。」



そう言うと、
ついさっきまで探していた私の財布を差し出した。



「え? あっ はい」



私は今起こっている事の成り行きが理解できないまま、
その、差し出された財布を受け取った。



どうして、この人が私の失くした財布を持ってるの・・・??



彼はくるりと向きを変え、

「盗み聞き女。ガキがあんなとこ来んじゃねーぞ。」


と言うと、教室から出ていった。