ライブハウスに戻ると、陽子ちゃんが“こっち、こっち”と手招きしている。 「もう、奏 遅―い。 スパイダーがもう出てくるってさ。」 「ごめん、ごめん。」 さっきの出来事には触れず、私は笑顔で答えた。 私はまだ知らない。 この時すでに“彼”と再会していたことに―