―奏― 君に捧げる愛の歌



そして、その女の子は俺に言った。



「私死ぬのよ。
だからどうなったっていいの。」



そういった彼女は、
悲しそうな、全てを諦めたような瞳をしていた。




普通、さっき会ったばかりの見ず知らずの人にこんなことを言うなど、
彼女の言っていることが本当だとはとても思えないが、
俺は何故だが悲しかった。




今日が美香の命日だからなのか―

美香をもう忘れようと、
指輪を手放したからなのか――


複雑な感情が込み上げてきて、
彼女の瞳を見ていると胸が苦しくなった。




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