「え…!?雨音の初恋だねっ!」
わたしは初めての経験でどうしたらいいのかわからなくなって、すぐに由梨香に相談していた。
「よしっ!じゃーゲットするための作戦練ろっか!」
「さっ…作戦…!?」
びっくりしているわたしを気にせず由梨香は続ける。
「そっ♪名ずけて!メアドゲット大さくせ~
ん!」
由梨香は私と違って恋愛経験豊富だ。
「メアドを交換して距離を縮めるのっ♥方法はね…彼に自分のメアドを書いた紙を渡すだけっ!」
え~!?!?
…わたしははっきりいって女らしくない。由梨香の作戦はあまりにも大胆すぎてわたしには無理だと思った。
なので作戦中止にしようと声をかけようとした瞬間…
「大丈夫!わたしがついてるからっ!絶対成功させようねっ!」
とまぶしい笑顔を向けてきた…
断れるはず無い…

よって作戦実行…

「雨音!きたきた!」
由梨香が合図をおくってきた。
徐々に鼓動が早くなってくのを感じながらわたしはそのときを待った。どんどん足音は近づいてすぐそばにきこえるようになった。
そして彼は現れた。
スッ…
彼はコートの外でもあいからわず身長はそこまで大きくなく、とても穏やかな表情をうかべていた。
「あのっ…」
彼は振り返る。
「なに…?」
あっ…そのキレイなかおには愛らしい涙ボクロがあった…
なんて整った顔…
「これわたしのメアドです!良かったらメールしてくださいっ!」
すると彼は一瞬驚いた顔をしてまた微笑んだ。
「わかった。君は名前なんていうの?」
「あっ!雨音ですっ!」
今にも心臓が爆発しそうなわたしは精一杯自分の名前をいった。
「俺は優斗。瀬戸優斗っていうんだ。じゃー雨音また夜はなそう」
そういって彼は手を振り去っていった。
…ドキドキドキドキ…
心臓がうるさい…顔が熱い…顔が…にやけてしまう…
「雨音やったじゃん!」
由梨香がそういってピースしてくれた。
「うんっ…!」
わたしはなんかくすぐったい気持ちで彼女に抱きついた。
もう夜が待ちどおしくてしょうがなかった。
この気持ちが恋…
コートがよりいっそう光り輝いて見えた。
そして体育館を勢いよく飛び出した。