「丁度、今気付いてさあ」
「うん」
「家に入れなくて焦ってた」
「そっかあ」
「西谷さん、ありがと」
かばんを受け取ろうとして、西谷愛の顔を見た。
何故か、悲しそうな笑顔をしていた。
「西谷さんとか言わないでよ!
愛、でいいんだから」
西に傾き始めた光が、愛を横から照らす。
髪は透明感のある茶色と黒でグラデーションになり、肌は白い真珠のようで、
すごく、すごく、綺麗だった。
その姿は、彼女の全てを納得させた。
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