西谷愛が、私に微笑みかけていた。 「ねえ、隆介からきいたんだけど」 彼女は、私のかばんをさしだしてきた。 胸が、どくんと音を立てる。 「あ・・・うん」 「教室に忘れてたみたいだよ~」 ああ、なんだ。 事情を知らないのか。よかった。 私は胸をなでおろした。