「昔、僕の脳から出るアルファ波を、特殊な装置で吸収してると言ったのは覚えてるよね?」

「ええ。私があなたの心を読まないようにでしょ?」

「うん。でもね、その装置は単に吸収するだけではなく、送信もしてるんだよ」

「送信って、どこへ?」

「君へさ」

「わ、私に!? 受け取った覚えはないわよ?」

「あはは、そうだろうね。正確には今は未使用の、君の中のもう一つの記憶装置に送っている」

「ああ、それがあなたの……」

「そう。不完全だし、君と出会った以降だけだが、僕の記憶という事になるはずだ」

「すごーい。あなたは天才だわ」


ナナはタカの痩せ細った身体に抱き着き、頬と頬を寄せた。