しまった、と思う。どうして親父の言う通りに転校なんてしてしまったんだろう…


「悠樹君。ここ、食堂だよ。うーんと…人気のメニューは確か日替わり和食ランチ…?だっけ?友香?」


「それはお前の中の人気メニューだろうが。そもそも人気メニューなんてないだろ…。」


くそ、上杉の令嬢がいるなんて僕は聞いてないぞ。あれは断ったはずなのに…諦めてなかったのか…。


それにしても、この彩野という人物は本当に全国1位なんだろうか。見ているかぎり、そんなことは微塵も感じられない。

「彩野、はどうして聖華に…?」


全国1位ならば、進学率全国1位の国立S高校でも欲しがる人材だ。


「お父さんとお母さんの母校なんだここ。私立にしては学費安いし。」


そんな単純な…


「友達の家のお金で通ってるんだから贅沢は出来ないよ。」


「え…お家の人は…?」

なんか勢い込んで聞いてしまった。おかしいな、他人と関わるのは嫌いなのに。


「うーん…。みんな死んだ。」


「なんで…」


「さぁ…なんでだったっけかなぁ…」


どうしてって…とぼけてるのか…?ていうかなんだか彩野のさっきの表情にどきりとした。何て言うか、知ってる。


あの、笑っているのに、人を拒絶しているあの表情。僕もするから。知っている。人を拒絶する方法。

これが僕達の出会いだった