「あ…悠樹、君…?」


花音が起きた。


戻って来てくれた。


―1人にしないで。


おいてかないで。


お願い。―


ずっと彼女はうわごとでそう言っていたらしい。

僕が保健室に戻って来たときは、


息をするのも苦しそうだった。



世界が、つらい。



彼女が言っていた訳ではないが、僕にはそう言っている様に聞こえた。


僕はどうする事もできなくて、


ただ必死に…―



「世界がつらいなら、僕が花音のとなりにいてあげる。」



君と一緒にいたいから。

君が大切だから、


だからいなくならないで―…




「もう少し寝てな。顔色悪いから。」


「うん…―、すーすー…」


えっ早ッ!


『まったく、いい加減にしないと、そのうち身を滅ぼしてしまいそうだなその子は。』



「どうすれば、良いんでしょうね。」


『とりあえず、君にできる事は見守っている事だけだな。』


本当に?


見ているだけしかできないのか?


あ、1つできる事が分あった。


「先生。ケータイ使っても良い?」


花音が気にかけている人物が頭に浮かんだ。


『何に使うんだ?まぁメールならいいが?』


「サボり野郎共に連絡ですよ。」


『上杉と西のことか。』

「まぁ、そんな所ですね。」



僕はケータイをポケットから取り出して電話帳からあいつらの名前を検索した。



―To:上杉友香・西直人
Subject:緊急。―