私は転校生を意識から外すことにした。適当に愛想良く微笑みかけて外を見る。

先生がまだなにか言っていたが聞こえていないふりをしていた。


「あやの、おい彩野!」

とうとつに怒鳴られてびっくりした。


「はっはい!?」


「全く、しっかりしろ全国1位!転校生の面倒見てやれ。」


は………??


「じゃ、よろしくな。」

えぇぇぇぇぇ!!??


ポカンとしているうちに担任教師は教室から出ていってしまった。友香はというと(実は同じクラス)は最上級の哀れみの目で転校生を見ていた。周りもそれに習っているかのように転校生を見ていた。


「みんなぁ!ひどいよーー!!」


確かに私は方向音痴でよく(いやけっこう)ほえほえしているって言われるけどッ…!と怒っている私を無視してクラスメイト達は


「前田君。ご愁傷様。」

「天然クイーンを連れて歩くのは容易じゃないぞ前田。」


「骨は拾ってやるから…(涙)」


などと転校生・前田悠樹の肩にポンと手を置いていく。

ムッムカつくぅ…。

だけど未だに校舎で迷ってしまうのが現実だ。


「とっ友香ぁ…。」


「あーあー、わかったわかったから目に涙貯めてウルウルさすな…男子も顔赤くするなよ…わかるけどさ…。」


結局、友香と一緒に放課後学校探検ツアーに悠樹君を招待することになった。