これが現実。



現実の世界。


自分さえよければ、


後の事はどうでもいい。

本当の事を知ってしまった私は、



もう抜け出す事ができなかった。


やがて、私への警察の疑いは晴れたけど、


皆は解ってくれなかった。


つまはじきにされるのを恐れて、代わりに私を追い出す。



噂はなぜかいつも差出人不明のファックスで広がっていて、



『 彩野花音は親殺し。』



書いてあったのはそれだけだけど、


苦しくて、悲しくて、


つらくて。


それでも朝は来て、


『今日』を生きなくちゃいけなくて。


だから、自分に殻をつける事にした。



見えるものを見ないフり。


聞こえないフり。


パニックを起こさない様に、鎮静剤をたくさん飲んで、


働いて、


勉強して…




そして私は、人に近付かなくなった。



それが、人を傷つけない唯一の方法だから。