「悠樹君…。」


「あぁ、ごめんね。空いている車がこれしかなかったんだよ。」


遅刻した方が良かったかもな…


なんで空いているからって、ベンツを選んだんだろう。


『あの2人、本当にできてるの?』


『やっぱ直人じゃダメかぁ…』


『まぁ、お似合いだしね。雰囲気が似てるし。』

勝手な噂が…


「まぁえだぁぁぁぁ!!!!」


げ、上杉!


「お前一体これどういう事だ!説明しろ!最初から!」


「何って、勝手にみんなが噂している事なんて、説明しようにも…。」


「じゃあ噂の原因はなんだー!!」


い…痛い思いっきり揺さぶられて痛い。


「友香、いいんだよ。ほら、単なる噂だし。」


「…本当に、噂か?」


そうだって言ってるだろさっきから。


「おい、本当に、噂で終わらせられるのか?…前田。」


何を言ってるんだ?


当たり前だろう。


「だから単なる噂だって。それ以上でも以下でもないよ。」


「そうか…。」


そうだろう?


―いや、違うのか?―


「悠樹君!1限目教室移動だよ!」


ただ―…


ただ僕は、君に本当に笑って欲しいだけなのに?