『ピピッピピッピピッピピッ!』


―朝?―


おかしい。


昨日の記憶が半分飛んでる。


しかも、


私の隣りに誰か寝てる…!?


しかも、手をつないだまま!


見覚えのある、綺麗な顔の、男の子。


「悠樹…君?」


そうだ。


あの時気を失ってしまったから記憶がないんだ。


運んでくれたのかな…


「うーん…ごめん…」


「え?」


寝言かな?


「ごめん。彩野」


どうして?


何で謝るの?


私が、あなたを頼ったからいけないのに。


謝るべきは、私だ。


「私こそ…ごめんね。」

それでも彼は、私に応えようと、ずっと手を握っていてくれたのだろう。

「ごめんね…!」


私は人を、不幸にする。

いつもいつも。


「泣かないで…。」


「お、起きたの?付き添ってくれなくても、よかったのに。」


1人はいや。


誰かそばにて。


そんな事、言えない。


「泣かないで。1人が嫌なら僕がそばにいる。」

そんな事言わないで。


「大丈夫。1人でも、大丈夫だよ。」



そばになんか居ちゃいけない。



現実に飼われるのは、





―…私1人で十分だよ。