そうこうしているうちに車が動き出してしまった。
私は悠樹くんの言動を不審に思いながらも車をマンションの駐車場にいれる。
なんだろう。
風邪…とか?それだとけっこう大事だ。
最近仕事を詰めすぎたのかな…
私はきちんとタイヤ止めにあたったことを確認して、エンジンを切った。
音がしなくなって、あたりに静寂が広がる。
私は車を降りようとした。
「待って、花音。聞いて欲しいんだ。」
そう言って、悠樹くんは私を引き止めた。
本当に風邪だったらどうしようなんて考えてしまう。
だって悠樹くんは風邪をひくと物凄く甘えん坊になるんだから。
ちょっと対処に困ってしまう。
「あのさ、花音…」
「なに?」
「あのさ…えーと、うーん…
僕と、結婚してくれないかな?」
いたって、
いたって軽く、彼はそう言った。
いつもの照れ笑い。
いつもの香水の香り。
いつもの声。
答え?
そんなの決まってるよ。
私からなんて言ってあげたくなかったから、待ってただけだもん。
ねぇ神様。
私、これでもあなたに感謝してるんですよ?


