real world




「前田ー、何読んでんだ?」


「テレビ局とかではショウゴと呼べ。」


「ショウゴー、何読んでんだ?」


「『嵐が丘』」


「なにそれ、だれが書いたやつ?」


「エミリ・ブロンテ」


「知らねぇなぁ。ジャンルは?」


「英国純文学。ちょっと直人うるさい。」




神様は僕にたった1人の天使をくれた。




たった1人。



大切で綺麗な宝物。




言い過ぎとか、クサいとか、自分でも思うけど、でもそれでも、


僕はその言葉が1番しっくりすると思う。



あれから1年。



喧嘩らしい喧嘩もせず、まるで老夫婦のように穏やかな花音との関係は続いている。



1年という歳月に見合った関係ももってる。(と思う。)




「なぁショウゴ、お前卒業したらどーする?」


「まだ決めてない。」




花音対しての不満は何もない。



あるのは、僕に対しての不満ばかりだ。



もう山積状態?