real world




「てめぇには関係ねぇだろ。ほっとけ。」




俺はタケルを追い払おうとテキトーな事を言ってみる。


こいつはいつもチャラチャラ遊んでいるけど、いざって時には勘が鋭い。

それはアキラもか。



いや、あいつと、花音もか。




「花音ちゃん、ショウゴと付き合ってんだろ?」

「だからなんでもかんでも花音に繋げるなよ。別に俺は花音中心に動いてる訳じゃないんだからさ。」


「嘘つけ。今でもお前は花音ちゃん中心に生きてるだろ。」


「うるせぇっつってんだろ。」




痛いとこつかれた。


そう。


俺はまだ花音を中心に生きてる。


1年前のあの事件が終息を迎えても、


花音と悠樹が幸せそうに歩いているのを見ても、

友香の気持ちに気付いていても。




「忘れられないんだろ?」




忘れられないよ。


忘れるわけない。



だから、止まったまま、動き出せなくて、動きたくなくて。


哀しくて。




「直人、俺達はお前があの日何に巻き込まれたか知らない。でもお前、あの日から花音ちゃんを遠ざける様になった。」




そうだよ。


遠ざけた。


見たくなくて、


哀しくて、


でも、嬉しくて。