さて、両親を殺されてから私の面倒を見てくれる親戚は一人もいなかった

―そのかわり、遺言書を偽装されて財産だけはごっそり持って行かれた―


路頭に迷いかけた私を引き取ってくれたのは中学で友達になった上杉 友香(ともか)の家だった。


彼女の家は世界に跨がる上杉グループを経営している。社長も社長婦人も人柄がよく、快く私を迎えてくれ、私に一人暮らしをさせ、学費も払ってくれている。


―家賃と生活費は自分で稼ぐことにした。上杉夫婦は残念がっていた―


「友香ぁーもう歌っちゃうよー?」
全く、友香は何してるんだろう…


「かーのーんー!あんたが割った皿片付けてやってんだろうが!」


「え〜?だって友香が…」


「るっせえよ!何枚皿割りゃ気か済むんだおめぇは!」


みなさん怯えないでやってほしい。友香はお嬢様であることがとても嫌いだから、こうして男言葉を話す。


―見た目は確かにお嬢様そのもの―


「よし終わった!」


「ギリセーフ。ほら今から歌うよ直人!」


そういえば説明がなかったけど、直人は人気ユニットRoseのメンバーであり私の幼なじみだ


「わぁー、やっぱかっこいいなぁ…」

「どこがカッコイイの…?直人っていつもみたいなちんちくりんじゃん…」