私は決めたんだ。素直に言うって。だから…


―ピーンポーン―


『はい…花音?』


「あ…直人。」


『今出る。ちょっと待て。』


この辺に来たのは久しぶりだ。


なぜなら、この家のとなり―幼馴染みの家のとなりは、


私とお母さんとお父さんの家だった。


今は―


土地だけが残っていて、『 売 地 』そんな看板が立っている。


親戚に、盗られた物のひとつだ。


―ガチャ。


「どうしたんだ急に…
花音?」


そう、私は言いに来た。事実を。


「直人、ごめんね。」


きっとこれで分かる。
伊達に17年幼馴染みやってきたわけじゃない。


「そっ…か…くそ、やっぱ分かってたんじゃねぇか。」


胸が焼き付くように熱いけど、これが一番の方法だから、


「なぁ花音。」


「何?」


「返事は分かったけど、俺の意見は聞いてくれないのか?」


「いいけど?」


何だろう。嫌な予感。


「俺、あきらめるなんてこと、しないから。」


的中。最悪。


でも、いいか。


「あはは。直人らしいね。」


「あ、それから―…」


「どうしたの?まだ何かあるの?」


直人はチラッととなりを見た。


まさか。


「―…決まったみたいだ。」


買い手が見つかった。


もうすぐ、すべてがなくなる。