「何…で?」


「え…?」


「なんで、そんな笑い方するの?そんなに信じられない?私にも気紛れで付き合ってくれてるの?」


「どうしてそう思うの?」


「悠樹君は笑ってるつもりかもしれないけど。
そうは見えないの。」


それは唐突だった。同時に驚いた。図星だった。

「は…は、おもしろい事言うね。彩野」


耐え切れず目をそらした。見透かされてるようで怖かった。


なのに彼女は僕の顔をつかんで強引に目を合わさせた。


彼女のきれいな顔が目の前にある。


目が、そらせない。


「なにを…!?」


「ちゃんと見て」


「は?」


「ちゃんと見て。私だけでもいい。大丈夫。怖くない。怖くないよ…」


怖い…?そうだ。人がコワいんだ。またいつ人に裏切られるかこわいんだ。


にんげんがこわいんだ。

「大丈夫。こわくない。大丈夫。」


こわい。わからないでもこの目。きれいなこの瞳だけは、


信じたい。


信じれる。


どうして…?


顔に添えてある彼女の冷たい手が心地好くて、


「あ」


「何?」


「今、笑ったね。ちゃんと、笑えたね。」