よく見れば、いや、見なくても愛さんじゃない。

どうして愛さんだなんて思ってしまったのだろう。



「結木 神楽。結木相楽の実弟…異母の、ね。」


紅さんは銃口を狙いから外さず構え続けながら言った。



35口径ホルスター式銃。


銃刀法違反にはならないんだろうか…?


僕は動揺しているのかそんなちょっとずれた疑問をいだく。



『―なぜ、そのことを?―』


「『ファイル』の使用目的は相楽氏を当主から引きずり下ろす事。あなたは先代と一般女性との間に生まれたから、一族からのけ者にされていた。違う?」



結木家は血統と誇りをなにより重んじる。



一般女性との不義の子。


神楽はそう呼ばれて来たんだろう。


もちろん、母親も蔑まれていただろう。



「『ファイル』を渡しなさい。」


『―…渡したら?―』


「永遠に葬り去るわ。」

『―話にならないな。―』



そして


神様は、


またもや、



僕たちを裏切る。



僕は駆け出した。