もう限界かもしれない。

いろいろなものが私を引きずり込もうとしている。


花音。


ごめん。



…ありがとう。



あなたのおかげで楽しい人生を送らせてもらったから、


だから、


私は前に進む。


いつまでも甘えていないで、傷さえも糧にしてみせる。



「お祖父さま。友香です。よろしいですか?」



母の好きなゴスロリのスカートの裾をギュッと握った。



『―入れ。』



ビクッと身体が震えた。

いつ来ても圧倒される部屋。


幼い頃から祖父は怖い存在だった。


まるで何を考えているのかわからない。


勇気を出せ。


そう自分を励まして部屋のドアに手をかけた。



「おひさしぶりです。お祖父さま。」


「半年ぶりだな。一緒に住んでいるのに、なかなか時間が合わないから…どうした?」



言え。


開け口!



「まぁ、察するところ、どうして我が上杉家が結木家の『ファイル』とやらを追い求めるか。または結木と縁があるのか、数々の事件はわしが先導したか否か。と言ったところか。」



「…!ど、どうして…?」



心臓が凍り付く。


身体が震える。


お祖父さまが、なぜそれを知ってるの?