「…悠樹。」


「はい?」



そんな日が続いて恋奈の葬儀や行事をすべて終わらせ、息をつけるようになった時、愛さんが久しぶりに話しかけてきた。

愛さんは葬儀の準備に奔走していて、顔を合わすのも5日振りだった。



「悠樹。私、あなたに言っておくべきことがあるの。」


「なんですか。改まって。」


「あのね…これ。」



そう言って彼女は紙束を出してきた。




『報告書・東郷 桐恵について。』




「ど、どうして今更…?」


「私ね、お嬢様育ちだって言ったでしょ?」


「それが?」


「聞いた事があるの。というか、社交界の大人たちが話している事を、うん十年前にね。」


「母さんの、 何を聞いたんだ?」


「桐恵さんは…


結木大臣の子供だって。」