――直人の家にて。
「何言ってるの!?そんな、よその子を家に置く事なんてできません!ましてや彩野さんの家の子なんて…!」
「どうなってもいいっていうのかよ!?」
「当たり前よ!ご近所の目もあるの!あそこと仲良くしていたのは隣りだったから!家は家だけが良ければ丸く収まるの!何も気にしなくていいの!」
「母さん、言い過ぎだよ。花音さんだってさ、なんら問題ない人じゃん。」
「あるわ!人殺しかもしれないって話じゃない!」
「それは単なる噂だろ?」
「噂だからこそよ!だいたい、頭が無駄に良い子ってたいていはどっかでキレて人殺しぐらいするじゃない!悪人がみんな悪人面してる訳じゃないのよ!!」
「…―っ。わかった。」
「ほら見なさい慧斗(ケイト)お兄ちゃんは解ってくれたわよ!あなたも少しは…」
「解ったよ。母さんが最低人間って事はね!!」
「――――っ!!??」
「あーあ、キレた。オレ知らないから。」
「俺今日この家出るから!」
「―ま、待ちなさい!周りを良く見なさい!自分さえ良ければ良いなんてみんな思っている事よ!!私達だけじゃないのよ!」
「―…達…?俺をあんたの仲間に加えるな!…じゃーな慧斗。たまには遊びにこいよ。」
「はーい。」
「なお…!待ちなさい直人!」
「もう必要な物は全部向こうに送ったから、部屋はどうにでもすれば?美貴(ミキ)さん。」
「…っ今に見てらっしゃい!あなたが間違っていて、私が合ってるって、解る日が来ると思から!!」
そうして少年は、17年間育った家を出ていった。


