悠樹は疑うような目で私をみていた。
私が誰か、特に玄三郎さんに話すのを恐れている。
という事は、事態は一刻を争っているようだ。
「言外しないと誓うわ。必要なら協力する。だから、教えなさい!」
生まれて初めて苦悩の悲鳴をあげた。
「僕は、止る訳にはいかない。進むしかない。」
「悠樹、私達は家族よ。あなたは私の息子。たとえ血が繋がってなくてもね!あなたは私の息子なのよ!」
幼い頃から期待されていた家族じゃないかもしれない。
私は玄三郎さんが離婚を申し込む事が無い限り子供も生めないかもしれない。それでも、
あなたは私のたった1人の息子でしょう?
私は母親なんでしょう?
「…ある、ファイルが、元凶なんだ。」
悠樹はついに口を開いた。今までの事、すべてを話してくれた。
「…悠樹のお母さんのことは知っていたけど、そう…そうだったのね。」
「確定した訳ではないけど、たぶん…」
悠樹の母親の名はたしか前田 桐恵(マエダ キリエ)さん。
「きりえ…?」
「愛さん?」
何かが、引っ掛かった。


